ブログ「時田・幻椏・芳文の「我貌徒然」」の記事
極上の筆

2007年6月27日、野口白汀先生の御急逝の報を聞き、大きなショックを受けた事を昨日の事の様に思い出す。当時、先生自ら喜寿を記念する個展の準備のために猛烈なテンションでお仕事を成されていた事をお聞きしていたので、激走のまま逝ってしまった無念を私は、強く感じていた。
我が家には、「為」、「芳」、「五風十雨」の3点の作品が 架け替えの無い永久展示の書として壁を独占している。そんなこの上ない在り難い先生との関係を慮って下さった御子息の岱観氏とも、引き続き親しいお付き合いを頂いている。
あれから4年半、岱観氏から 遺墨展 書貌と風貌 「野口白汀の字」 が来年1月7日から13日まで、上野の森美術館で開会されるご案内を頂いた。充分な時間を使って準備された遺作展を、やっと拝見できるのである。昨夜、岱観氏に御来訪頂き、展覧会の図録や御本の校正刷りを見せて頂くなど、有意義な時間を頂いた。その折、白汀先生がお使いに成っていたと言う55ミリもの穂の長い極上の小筆をお持ち下さった。白汀先生が同じ筆を2本お持ちであったそうで、1本は岱観氏が使い、もう1本を私にお預け下さると言う。恐れ多くもなんとも在り難い事で、只々感激するばかりである。
早速、近くに先生を感じながら我が句を書かせて頂いた。残念ながら、筆は上等でも書はままならない。岱観先生の 「大いに使ってください。」 と言う御言葉に甘えて、朝日俳壇の投句もこの筆を使わせて頂こうと思っている。
写真は、白汀先生の形見分けとして頂いた陶板作品 「土」 の上に2枚の葉書と筆を置き、撮ったものである。